【短】卒業〜新井かんなの場合〜
ホテルで
宣言通り行かないという選択肢は勿論あったけれど、気付いた時にはホテルに到着していた。
煌びやかなロビーに掛けられた時計は16時45分を指している。
思わず溜息を吐きながら、何故こうなったのかを整理する。
今まで2人きりで会う時は決まって彼の部屋だった。
勿論デートらしいものもした事はない。
自分達は恋人でもなんでもないのだから当然である。
なのにこの展開はどうゆうことなのだろう。
あの男にとって自分は、抱きたい時に抱ける都合のいい存在に過ぎず、卒業すれば当然会わなくなると思っていた。
そう思っているにも関わらず、持っている数少ない私服の中で1番見栄えのするワンピースを着てきた自分に、「これはTPOに合わせてるだけ」と言い訳する自分のなんと滑稽なことか。
それとも、最後の一夜をホテルで過ごそうという事だろうか。
そこまで考えた時、ふっと視界に影がさした。
「よお。早かったな」
顔を上げるといつもの口元に笑みを浮かべた表情で彼が立っていた。
カジュアルスーツの下にタートルネックを合わせたスタイルが、嫌味なくらい様になっている。
「そちらこそ、お早いご到着で」
「お前が来るか心配で16時にはもう着いてたぞ」
「え?」
「何でもない。ほら、行くぞ」
そう言って手を引っ張ってくる。
そのまま連れて行かれたのは、最上階にあるホテルの一室だった。
ドアを開けて正面はガラス張りの窓から輝く夜景が見渡せる。
右手にはダイニングとキッチンらしきものがあり、左手には大きなテレビとソファが並んでいる。
それだけでも相当広いのに、さらに奥へと続く扉もあり、思わず部屋を見渡してしまう。
これはスイートルームと呼ばれる場所ではないだろうか。
あまりの豪華さに固まっていると、彼がダイニングを指差して言う。
「とりあえず食事にするぞ」
彼がそう言うとどこからともなく給仕係が現れて、にこやかな笑顔を浮かべながらイスを引いてくれた。
煌びやかなロビーに掛けられた時計は16時45分を指している。
思わず溜息を吐きながら、何故こうなったのかを整理する。
今まで2人きりで会う時は決まって彼の部屋だった。
勿論デートらしいものもした事はない。
自分達は恋人でもなんでもないのだから当然である。
なのにこの展開はどうゆうことなのだろう。
あの男にとって自分は、抱きたい時に抱ける都合のいい存在に過ぎず、卒業すれば当然会わなくなると思っていた。
そう思っているにも関わらず、持っている数少ない私服の中で1番見栄えのするワンピースを着てきた自分に、「これはTPOに合わせてるだけ」と言い訳する自分のなんと滑稽なことか。
それとも、最後の一夜をホテルで過ごそうという事だろうか。
そこまで考えた時、ふっと視界に影がさした。
「よお。早かったな」
顔を上げるといつもの口元に笑みを浮かべた表情で彼が立っていた。
カジュアルスーツの下にタートルネックを合わせたスタイルが、嫌味なくらい様になっている。
「そちらこそ、お早いご到着で」
「お前が来るか心配で16時にはもう着いてたぞ」
「え?」
「何でもない。ほら、行くぞ」
そう言って手を引っ張ってくる。
そのまま連れて行かれたのは、最上階にあるホテルの一室だった。
ドアを開けて正面はガラス張りの窓から輝く夜景が見渡せる。
右手にはダイニングとキッチンらしきものがあり、左手には大きなテレビとソファが並んでいる。
それだけでも相当広いのに、さらに奥へと続く扉もあり、思わず部屋を見渡してしまう。
これはスイートルームと呼ばれる場所ではないだろうか。
あまりの豪華さに固まっていると、彼がダイニングを指差して言う。
「とりあえず食事にするぞ」
彼がそう言うとどこからともなく給仕係が現れて、にこやかな笑顔を浮かべながらイスを引いてくれた。