甘い微熱ーセフレから始まる恋ー
「早くね?」

「いっかい、いえかえりたいから」


もう瞼を下ろしながら、回らない頭で言葉を紡ぐ。


「わかった」


多分、向井くんがアラームをセットしてくれた。

確認する気力はなかったけれど、疑う余地はない。


「おやすみ」


真っ暗に消された電気と共に、額に唇を当てられる。

その行為に胸の奥がじんわりと温かくなったけど、何かを返すこともできないまま静かに眠りに落ちた。
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