甘い微熱ーセフレから始まる恋ー
県庁舎の朝はエレベーターが混んでいるので、運動がてら5階まで階段で上がる。


同じフロアに、向井くんのいる障害支援課がある。

私の働く高齢福祉課は障害支援課の奥にあって、どうしたって障害支援課の前を通らなければいけない。


いつもより早足で、障害支援課の前を通り過ぎた。

全身に神経が張り巡らされていたけれど、向井くんの出勤の有無を確認する余裕はなく、私ばかりが一方的に意識しているのだと思うと何だか悔しい。


「おはようございます」


挨拶をして、自分の席に腰を下ろす。

先週と変わらない朝のはずなのに、私の心持ちだけが先週とは違っていた。
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