甘い微熱ーセフレから始まる恋ー
「ワイン美味い店、予約した」

「え…」


肩に掛けた鞄の紐を握り締めて意を決して断ろうとしたのに、先に向井くんの言葉によって遮られた。


「好きなんだろ?」


拍子抜けして言葉を失った私を一瞥して、向井くんが口を開く。


「言ったことあったっけ?」

「先週、飲み会で言ってた」


当の本人でさえ話したことを忘れてるくらいのことを、向井くんが覚えている。
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