甘い微熱ーセフレから始まる恋ー
それも向井くんのテクニックなのだろうと思いつつも、嬉しさが勝ってしまう。


「狡いね」

「何が?」


惚けたフリをしながらも、フッと笑みを溢した向井くんの横顔がやけに私の脳裏に焼き付く。

私に本気な訳ではないと彼の言動が明らかに示しているのに、それでもいいかもしれないと思えてしまう程に不思議な魅力が彼にはある。


「職場で手出したの、何人目?」

「初めてだけど」


その言葉の真意を探るのは、至難の業だった。
< 30 / 62 >

この作品をシェア

pagetop