甘い微熱ーセフレから始まる恋ー

fever3

「経理課いってきます」


届いた請求書片手に、階段を1階分降りる。

経理課の佐藤さんの元まで向かうけれど、私が来たことに気付いていない佐藤さんに声を掛けた。


「佐藤さん」


私の声に、彼の手の動きが止まる。

眼鏡をクイッと上げたけれど、そのレンズ越しの瞳と目が合ったことはない。


「請求書、お願いします」

「はい、お預かりします」


私の手元から佐藤さんの手元に、請求書が渡った。
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