甘い微熱ーセフレから始まる恋ー



仕事を終え、駅へ向かう。

どんよりとした曇り空が、妙に重たくて堪らない。


「…伊織(いおり)


改札を潜る前に呼び止められた声は、私を一気に数年前へと引き戻す。


「…爽」


彼の名前を口にしただけで当時の感情が蘇り、あっという間に私の中を埋め尽くしていく。


「ごめん」
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