甘い微熱ーセフレから始まる恋ー
「もう、会いに来ないで」


強く握り締めた封筒に皺が刻まれ、なぜか込み上げた涙のせいで声が情けなく震えた。


「帰って」

「伊織、」

「帰ってよ!」


語尾を荒げ、爽の胸板を叩く。

周りの視線を気にする余裕さえなくなり、掻き乱された感情を抑えきれずに爽へぶつけることしかできない私も私だ。


「何してんの」
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