甘い微熱ーセフレから始まる恋ー
フッと笑みを溢した向井くんが、本気でないことは酔った頭でも理解できていた。

でも、久々の異性の温もりは、私にまだ“女”としての魅力があるのだと実感させてくれる。


再び近付く距離に、瞳が揺らぐ。

唇が触れ合う数ミリ前で、向井くんが口を開く。


「…どうする?」


最後の判断は、私に委ねられた。


半分酔いは覚めていたけれど、アルコールのせいにして静かに瞼を下ろす。

重なり合った唇は、外気のせいで少し冷たくて、それがやけに罪悪感を煽った。
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