甘い微熱ーセフレから始まる恋ー
コーヒーの苦味が、感情的になっていた私の心に冷静さを取り戻させる。


いつもはやけに距離が近いくせに、今はちゃんと触れ合わない絶妙な距離を保ってくる向井くん。

二月の寒さは身に堪えるはずなのに、“寒い”の一言も言わずに隣にいてくれる彼は見掛けによらず優しい。


「今日みたいなこと、頻繁にあんの?」

「ううん、別れてから会ったの初めて」


落ち着きを取り戻し、先程の爽の瞳の色を思い出す。


目は、口ほどに物を言う。

会わなかった時間に、彼なりに更生しようともがき苦しんできたであろうことは想像するに容易かった。
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