甘い微熱ーセフレから始まる恋ー

fever4

職場のお手洗いで念入りにメイクを直す。

今朝悩みに悩んでワンピースを手に取ってしまったことを若干後悔しながら、何度も鏡越しに自分の姿を確認してから庁舎を出た。


…ただ、飲みに行くだけ。


そう自分に言い聞かせるようにしながら、久々に動いた向井くんとのトーク画面を開く。

直接お店で待ち合わせしているので、送ってくれたURLをタップし、地図を表示して歩き出す。


駅の反対側にあるらしいそのお店は、職場から然程遠くはないが初めて行くお店だった。


アスファルトを蹴る、私のパンプス音。

まだ早めの時間で周囲にも歩いている人が複数いるのだけれど、不意に視線を感じた気がして足を止めた。
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