どん底貧乏美女は夢をあきらめない
それから、ちょうど事務所にいた由紀子さんと久美ちゃんに事情を説明した。

二人ともなんだかとても楽しそうに嬉々として荷物運びを手伝ってくれた。

美玖がいた事務所の奥も仮眠室として使っているようにする為、ベッドのカバーとかもモノトーンの物に変えたり次の日は一日がかりで何とか、榊の部屋に美玖の持ち物を移動させた。

榊の部屋はマンションの最上階いわゆるペントハウスだ。

何度かスタッフもお邪魔しているが、いつもすっきり片付けられている。

リビングの一番大きな壁はアクセントクロスになっていて、モスグリーン無地のクロスが貼られている。

その壁に大きなテレビが壁付けになっていて両サイドにはニッチの飾り棚がある。

そのアクセントクロスの落ち着いたグリーンと少し濃いめの無垢の木のフローリングが癒される。

フローリングはボルドーパインのブロンズ色でアンテイーク加工がしてあるので、とても趣がある。

美玖はこの床材が大好きだ。

夏は裸足で歩くと気持良さそうだ。

観葉植物も効果的に置かれていて、このリビングで一日ぼーっとしていられる。

テラスも広くジャグジーもあるのだが、あまり使っていないようだ。

日当たりもいいので、プランターにミニトマトやハーブなどを植えたらすくすくと育ちそうだ。

そういうと、榊は美玖らしいなあと笑っていた。

花を植えたいと言わないところが、花より団子の美玖らしいそうだ。

美玖はお花も大好きなので本当は花も植えたいと思っているが、先に立つのはやっぱり野菜だ。

花ではお腹は膨れないが、気持ちは豊かになる。だからどちらも大切なのだ。
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