どん底貧乏美女は夢をあきらめない
洗面所から戻ったお父様は

「お前は何もしなくていいんだよ。
きつねうどんは作れなくても、
お花は毎日きれいに活けてるし、
お茶も師範で素晴らしいお点前じゃないか」

「ほんとに、そう思ってくれてるの?」

とお母様は嬉しそうにお父様を見上げた。

こんなに可愛い50代の女性にあったことがない。

”可愛すぎる~~”と、一人もだえる美玖だった。

「そうですよ。お母様はやったことが
ないだけで、やればなんだってできますよ
野菜のクッキーも上手に焼けた
じゃないですか」

そういって、さっき焼きあがって覚ましておいたクッキーを持ってきた。

「ありがとう。美玖さんが教えるのが
上手なのよ。ほらみて、あなた、
さっきあなた達がお仕事の話に夢中に
なっていた時に美玖さんに教えてもらって
作ったのよ。私の初めての手作り
クッキーよ。はいあーん」

と得意げに言ったお母様は、カボチャのクッキーをお父様に手ずから食べさせた。

それを嬉しそうに食べるお父様

本当に仲のいいご夫婦なのだと、美玖は心底感動した。
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