どん底貧乏美女は夢をあきらめない
そんな二人を見慣れているのか大吾は

「はいはい!続きは自宅でゆっくりやって」

と言って、さっさと帰り支度を始めさせる。

「ええ~っ、まだ美玖さんとお話しして
いたいのに…」

と名残惜しそうにするお母様の背中を押して玄関まで送りだす大吾に、負けじとお母様は美玖のもとに走り寄って来た。

「ねえ、美玖さん連絡先交換しましょうよ
また今度ぜひ、きつねうどんの作り方
教えてほしいわ。
私の手作りのきつねうどん主人に
食べさせたいの」

と小声でささやいた。

本当に可愛すぎるお母様だ。

きっと純粋培養で育ったのだろう。

悪意も苦労も何も知らず、ただ愛される人っているんだなあと、ほっこりとした。

それにつけ自分の母親の事を思うといつもいつもお金のやりくりに苦心していた母を思い出した。

でも母は母で日々の生活を田舎の自然を楽しんで父や子供たちの健康を考えた食事を作りをしていた。

広い庭に畑を作り野菜や自分の好きな花を育てて美玖に料理の大切さを教えてくれた。

東京に来てめったに野菜を買うことはないがそれでも送ってもらった野菜を使い切ると、買うことになる。

そんな時は母や祖母の手作りの野菜がどれだけ美味しいのかわかるのだ。

それに持ちも全然違うのだ。

スーパーで買う野菜の2倍は長持ちするのだ。

美玖は大吾の母親の華やかで苦労知らずのご令嬢育ちの純粋で悪意のない素晴らしい人もまた好ましく感じた。

お母様が嫌な悪意にさらされないようにきっとお父様は、お母様を守ってきたのだと二人のやり取りを見て思うのだった。
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