どん底貧乏美女は夢をあきらめない
フフッとほんのり赤く色づいた顔で笑う美玖が色っぽくて、大吾は理性を総動員しなければ、ここで美玖の唇を奪いそうだった。

かろうじて理性を保っていた。

「でも美玖はそんなお母さんが
大好きなんだろ?
自分はハンドクリームなんかコンビニで
売っているような物を使っているくせに、
お母さんにはそんな高いのを送って
あげているんだから、優しいよな。
今度俺が、フランスのハンドクリームを
美玖にプレゼントするよ」

と、テーブルの上の美玖の手を握りながら大吾が言うと、美玖はますます顔を赤らめて手を引こうとしたが、大吾は離さなかった。

「大吾さんの方が優しいです。
今日もこんな素敵なところに
連れてきて下さって、その上
ハンドクリームまでもらったら
罰が当たりますよ」

「どんな罰だよ。それに今回の事は
俺が頼んだんだからこれくらいの事当然だ。
まだまだ足りないくらいだ。
二人とも美玖を気に入ってくれて、
昨日から本当によくやってくれて
ありがとな」

「でも、お二人ともとてもいい方で、
だましているのがほんとに
申し訳なかったです」

「じゃあ、本当にしてしまえば
問題ないだろ?」

そういった、大吾の声は美玖には届いていなかった。すっかりいい気持で半分夢の中だったのだ。
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