どん底貧乏美女は夢をあきらめない
本当に大吾はもう我慢も限界だったのだ。

毎日美玖と一緒のベッドに寝て無意識にすり寄って来る美玖の体温と甘い匂いに翻弄されて夜中に冷水シャワーを浴びに置きだしたことも度々だ。

大吾は美玖をお姫様抱っこで寝室に連れて行った。

美玖は心の準備もしないまま、成り行きで処女喪失となったが、大吾ならたとえ結婚が叶わなくても後悔はしない。

しかし後から冷静に考えるとシャワーも浴びずに致してしまった。

美玖は何もわからずただ大吾のなすがままだったのだが、今更悔いても仕方がないし美玖にとっては夢のような一夜だったのだ。

大吾は26歳で処女だった美玖に少し驚いた。

ここでも美玖のギャップにやられてしまった。

男心をくすぐる美しい容姿の美玖が、まさか男性経験がないとは思わなかったのだ。

美玖に言い寄る男はたくさんいただろうに、美玖に言わせればデートに使うお金も無かったからというのも理由の一つらしい。

それに、大学時代は勉強とバイトに明け暮れ就職してからは秘書の仕事を完璧にこなすために、所作や一般常識、懐石やフレンチなどの食事のマナーなどなど就職してからも勉強の日々だったらしい。

でも、全てネットや本で勉強したという事だ。

茶道やフラワーアレンジも習ったことはないけれど本やネットの動画などで習得したらしい。

会社の玄関の装花も業者に頼むとかなりの費用になるので、社長に頼まれて美玖がお花を飾っていたらしい。

美玖がやればお花代だけで済むからだが、美玖は結構楽しんでいたと笑っていた。

自分の好きな花や時には枝物でアレンジするのは勉強にもなるし好きなお花に触れられて嬉しかったと言った。

お花が好きな美玖は家にも事務所にも、大げさではない小さな花瓶に欠かさず花を飾っている。

着物の着付けもしかり、母親に譲ってもらった着物でこれも独学で勉強して今では振袖の飾り帯まで結べるという。

それをひけらかすこともなくとにかく独学で何でも自分のものにしてしまう能力には脱帽だ。

記憶力が抜群にいいのも助かっていると言っていたが、美玖の努力の賜物だ。

こうして二人は身も心も一つになって、大吾には怖いものは何もない。

美玖を手に入れてこれからは仕事も二人で邁進したい。

というわけで、今日の但馬リゾートの本社での会合になったのだが、大吾と美玖との間ではホテル再生のコンセプトは大体決まっていた。

あとはチームのみんなの意見や但馬玲子の内諾をもらうだけだ。
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