どん底貧乏美女は夢をあきらめない
唯一ボーナスだけは、臨時収入として自分のために貯金したり、足りない服などを買い足したりしていた。

こんな美玖の現状を知ったら秘書仲間はきっと、びっくりするだろう。

親友の天野郁だけは、美玖の窮状を知っている。

今回のことも郁はいち早く就職活動をしていた。

美玖もと誘われたが、今度こそ諦めずに自分のやりたいことができる会社を、探そうと決心している。

退職時に2ケ月分の給料を退職金代わりに支給された。

それと今までの貯えと合わせると、返済と仕送りをしても3カ月は暮らせそうだ。

その間に必ずデザイン系や設計の仕事を見つけると固く決めている。

と希望に燃えていた美玖だったが、すでに今月末で3カ月を経過する。

月末の家賃も危うい事態だ。

でも諦めたくはない美玖は、いっそ当座の生活費を稼ぐためにアルバイトでもするかと思って、コンビニやスーパーのレジなんかにも応募してみた。

それで深夜までやっているスーパーのレジの夕方から閉店までの間の時間に採用してもらえた。

日中は面接や会社の求人を探したり応募したりしたいので、都合の良い時間帯だったのだが、8時以降はレジは美玖一人の担当となり、10時に閉店作業をして帰宅できるのは11時頃になる。

遅番の売り場担当者が男性で既婚者なのに何かと美玖に構ってくるようになり、家まで送ると言って美玖のアパートまで尾いてきて、家に押し入ろうとした。

店長にすぐに相談したら、美玖が思わせぶりなことをしたんだろうと決めつけて、結局辞めさせられた。

たった2週間しか働けなかった。

コンビニでも同じようなことだった。
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