どん底貧乏美女は夢をあきらめない
美玖は自分の中でこのパリスタイルを“プチパリスタイル”と名付けていて、これをKAI空間デザイン事務所の一つのブランドにしたいと思っている。

なぜプチパリなのかというと、プチつまり小さい、少しという意味を付けることで提案の幅が広がるからだ。

どこかにパリのテイストが入っていることがこのスタイルのコンセプトなのだ。

だからモダンになってもプロヴァンスの要素が入ってもエレガントな雰囲気になってもいろんなパリを提案できる。
和に合わせてみるのも面白い。

まさに大吾の実家は和とパリスタイルの融合だ。

パリそのものをスタイルにするのではなく、パリの雰囲気やテイストを活かしながら日本のいい所は取り入れて、KAIデザイン事務所のデザインやセンスでオリジナリテイのあるコンセプトを大切にしたスタイル、それをプチパリスタイルとして、一つの卓越したコーデイネ―トスタイルにしてはどうかという事だ。

その話をすると大吾は賛成してくれて、2ヶ月後事務所の隣のお店が退去するので、そこをプチパリスタイルのモデルルームにリノベーションするように美玖に任せてくれた。

プチパリスタイルと言ってもピンとこないけれど、実際に見てみるとその感じや雰囲気も理解してもらえるだろう。

モデルルームが出来た事で、LDKだけとか寝室だけとか自分の部屋だけとかいう小さなリノベーションも入り、新しく雇用したスタッフの実践として美玖は指導しながらスタッフを育てていった。

このころにはモデルルームの案内や管理のスタッフに、施工や設計デザインのスタッフも増えて行った。

仕事が増えてお客様に何ケ月かお待ちいただくこともあるような事態になっている。

技術職のスタッフが増えることで経理や事務職も増えて今では全社員30名ほどになっている。

奥のカフェ時代のキッチンや美玖が棲みついていた部屋も壊して事務所スペースにして30名の正社員とパートの人で仕事を頑張っている。

モデルルームの方にも案内などの為に2名程がいつも在中している。

美玖は大吾は同じマンションの最上階に住み、家と事務所を行き来しながら、相変わらず節約レシピの料理で大吾の食生活を支えている。
< 69 / 73 >

この作品をシェア

pagetop