どん底貧乏美女は夢をあきらめない
そう言うと、カウンターの奥から男性が現れた。

それも壮絶な美形だ。

意志の固そうなきりっとした目元に一筆書きしたような形のいい眉毛、鼻も高く、薄い唇を引き結んでいる。

それぞれのパーツが絶妙に配置され、美しいバランスで顔を構成している。

身長も180センチは軽く超えているだろう。

半袖の白のTシャツと濃紺のチノパンをあわせたカジュアルな服装だけれど、スタイルのいいのが分かる、脚も長いし、ピッチっとしたTシャツなので厚い胸板と腕の筋肉の盛り上がりが分かる。

イケメン男性は美玖を見ると、驚いたように目を見開きわずかに口角をあげた。

多分微笑んでいるのだろう。

ここはタレント事務所か何かなのか?と心配になり、つい聞いてしまった。

「ここはKAI空間デザイン事務所で
合ってますか?」

「ああ、そうだよ、夢野さんですね。
まだ事務所の体裁も整っていなくて、
申し訳ないね。どこでもいいから
座って居てくれる。
今コーヒーを入れようとしていたんだ。
コーヒー飲める?」

とその美形で高身長でモデルのようなスタイルの男性は聞いてきた。

「はい、ありがとうございます。
でも、お気遣いなく」

「いや、ちょうど僕も飲みたかったから、
約束の時間まで、まだ少しあるから、
ちょっと待ってて」

そう言うと、またカウンターの奥に入ってしまった。
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