キミと桜を両手に持つ

 彼が花園さんと出会ったのは今から五年前。アグノスのECサイトを作ったのがきっかけだった。

 ECサイトのプロジェクトメンバーに加わっていた少し地味だけど真面目で健気な女の子。仕事もよくできないからと一生懸命努力していた。

 藤堂さんの周りには花梨ちゃんの言ったように高橋さんみたいな美人でグイグイ迫って来る女性ばかりだったので謙虚で大人しくその可愛らしい容姿をわざと隠しているような飾り気のない彼女が何となく気になったと言う。

 そんな彼女とはプロジェクトを通して徐々に仲良くなり、ある日なんと彼女の方から告白。酔っていた勢いだったらしいけど、大人しい彼女が勇気を振り絞って必死に告白してきたその姿に惹かれ付き合うことにしたという。

 「とにかく健気な子で時間も必死に作って俺に会いに来てくれた。休みの日は一日中俺と過ごしたいって何処へいくのも一緒だった。可愛くて守ってあげたいと思った」

 最初は反応も初心で純粋無垢な彼女が愛らしいと思っていたけど、そんな彼女との付き合い方が徐々に苦しくなってきたと言う。

 彼が友達とどこかへ出かける度に不安になる。また仕事で忙しくて会えない時があると不安になって彼の家の前で寒い中何時間も待っている時があったという。一度は彼女が大雨の中家の前で待っていると連絡があって仕事を放り出して急いで家まで帰ったこともあるらしい。

 その為不安がる彼女の為に週末もバスケに行く時は必ず連れて行ったり、何処へ行く時も必ず場所を報告したり、会えない日はビデオ電話で話したりといろいろ努力したらしい。

 また彼が愛してると伝えない日があると藤堂さんが怒っているのではないかとか、態度がそっけないから嫌われているのではないか、と常に心配し過ぎたりする。
< 128 / 201 >

この作品をシェア

pagetop