キミと桜を両手に持つ
「あの、よかったらお水どうぞ」
「あ、ありがとうございます……」
彼女は水の入ったグラスを受け取るとそれもゴクゴクと一気に飲んだ。彼女の顔を見ると赤く火照ってぽわんとしていて明らかに酔っているのが分かる。でも断れないのかその後も次々とまわってくるビールを飲んでいる。
「あの、すみません。申し訳ないのですが私達は今日はこれで失礼致します。夕食有難うございました」
しばし皆と食事をした後、そろそろ帰っても大丈夫だろうと思い花梨ちゃんや遠坂くんと共にアグノスの人達にお礼を述べた。
「お疲れ様でした。ではウェブサイトのほうよろしくお願いします」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
お互い挨拶を済ませると、私は花梨ちゃんと遠坂くんを連れて店の外に出た。
「今日は遅くまでご苦労様。花梨ちゃんと遠坂くん、ここから帰れる?」
「はい。私はそこの都営線で帰れるのでこっちから帰ります」
「あ、俺も同じ方面です」
「そっか。私は反対方向か……」
スマホで帰りの路線をチェックしながら花梨ちゃんと遠坂くんに別れを告げることにした。
「うん、じゃ、気をつけて帰ってね」
「はい、じゃ如月さんも。お疲れ様でした」
「うん、お疲れ様ー。また明日ね、遠坂くん」
遠ざかる彼らを見送りながらスマホでメッセージをチェックしていると突然後ろから誰かがぶつかってきた。
「あ、すみませ──…」
と反射的に言ってしまいながら後ろを振り返るとなんと花園さんが立っている。
「は、花園さん?どうしたんですか?」
「あの、わ、私、如月さんに聞きたいことがあって──」
と言った途端、グラリと私に寄りかかって来た。
「花園さん、大丈夫ですか……?」
「う〜ん……」
と言ったっきりグラグラして私に寄りかかってきて完全に酔いつぶれている。