キミと桜を両手に持つ
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「部屋が一つツインルームなんですけど空いてました」
ホテルのカウンターでチェックインを済ませた彼は、カードキーを持って私と花園さんが座っている待合のソファーまで戻って来た。
「よかったです」
ほっとした私は花園さんを神楽坂さんと一緒に支えながらホテルの部屋へと向かう。とにかく早く帰りたくてここの部屋が空いていたことに感謝する。もし空いてなかったら花園さんを連れて部屋が見つかるまでホテルを探して歩かなければならなかったところだった。
「花園さんっていつもこんなにお酒に弱いんですか?」
飲み会の時はいつもどうしてるんだろうと思って神楽坂さんに尋ねた。
「いつも飲み過ぎないようにと注意するんだけど、勧められると断れないタイプでね。いつもは俺が注意して見てるんだけど今日は撮影スタッフといろいろと話すことがあったから……」
そう言いながら彼はカードキーで部屋を開けると花園さんを一緒に支えながら部屋の中に進んだ。部屋は狭いけど小綺麗にしてあってベッドもツインルームだから二つある。
持っていた自分のバッグと花園さんのバッグを小さな丸テーブルに置くと、神楽坂さんと一緒に彼女を部屋の奥の方にあるベッドに移動させて寝かせる。とりあえず靴だけは脱がせて上掛けをそっとかけた。
「彼女、大丈夫ですかね……」
すやすやと眠っているのを見る限り、少なくともアルコール中毒とか具合が悪いわけではなさそう。
「まぁ、大丈夫でしょう……」
神楽坂さんも寝ている彼女を見て私と同じ結論に達したのか溜息をついた。
突然、しーんとした狭いホテルの部屋に花園さんがいるとはいえ神楽坂さんという男性と一緒にいることに気付く。
「じ、じゃあ私はこれで失礼します」
慌ててテーブルに置いたバッグを取ろうと駆け寄ろうとすると、私よりも素早く動いた神楽坂さんが私のバッグを掴んだ。