キミと桜を両手に持つ
うーん、美味しい!これ今日の晩御飯に作れるかな。藤堂さんこういうの好きそうだし……。
今日のランチはこのカフェおすすめの月替わりメニュー。大きめのワンプレートには小分けに黒米ごはん、チキンのトマト煮、ベーコンとほうれん草のキッシュ、えんどう豆のサラダ、キャベツやズッキーニをグリルしたものと野菜スープ。私の好きな野菜のたっぷり入ったメニューでとても美味しい。
「本当にねぇ。藤堂さんいい加減日本に戻ってくればいいのに。きっと本人もそう思ってるんじゃないかしら」
詩乃さんは首を傾げると意味ありげな笑みを浮かべながら私を見た。
先週から病気治療の為に休職していた上野さんが在宅勤務という形で少しずつ仕事に復帰していて、藤堂さんはそろそろアメリカに戻るのでは言われている。でも彼と1ヶ月仕事をして皆彼にこのままここに留まって欲しいと思っている。
「花梨ちゃんが頼めばきっと藤堂さん残ってくれるわよ。その笑顔で頼まれて断れる男なんていないんだから」
花梨ちゃんは紫月さんの言葉に「…そうかな…」と私を見ながら呟いた。
「藤堂さんって如月さん以外の女性とはあまり話さないですよね。すごく真面目なのかな。仕事の話とかすると優しくて色々教えてくれるんですけど、それ以外の時はあまり反応ないというか、ちょっと冷たい印象があるっていうか…」
「えっ? そ、そうかな…」
ドキッとしながらも、動揺しているのを悟られないように黙々とえんどう豆のサラダを食べる。藤堂さんが私に慣れているのは、きっと一緒に同居しているからだけだと思う。
チラリと詩乃さんを見ると彼女も同じようにサラダを食べてるけど私を見る目が面白そうに笑っている。