キミと桜を両手に持つ
ご主人も同じようにIT関連会社に勤めているけど時々出張があって、今もご主人が出張の間彼女が一人で子供の世話や家事をしている。そんな中お子さんから風邪を移されたらしく、朝から疲れた顔をしている。
「うん、大丈夫。熱もないし咳もないんだけど喉が少し痛くって。でも頑張らないとね」
働くお母さんはすごいなと思ってしまう。私なんか家に帰ればゆっくり休めばいいだけだけど、彼女は具合が悪くても疲れてても子供のお世話をしなければならない。夜遅くまで家事をして、そして朝は早く起きてご飯を作ってお弁当の準備をして、子供の支度、それから自分の支度をした後会社へ来る前に子供を保育園へ連れて行かなければならない。
彼女を見ていると時々私の母もこうだったのかなと思う。疲れてても具合が悪くても私の為に一生懸命頑張ってくれた。
……そう言えばお母さん、女の子は元々男の子より強いんだって言ってたっけ。大変な妊娠・出産を乗り越えてお母さんになるように出来てるからって……。
それでも具合が悪い時や疲れている時は手を貸して欲しいに決まってる。
「加賀さん、何かできる事があればいつでも言ってくださいね。あ、そうだ!わたしのど飴持ってますよ」
急いで自分の席に戻るとバッグの中をあさっていつも持ち歩いているポーチを取り出した。
ジッパーを開けると中には色々なケースが入っていて、その一つをパカっと開けるとまだ未開封ののど飴を取り出した。
「はい、どうぞ。これ結構効くんですよ」
「如月ちゃん、何この大量の荷物は」
加賀さんは笑いながらわたしのポーチを取り上げて中を見た。