由良くん、愛さないで
『今、長いと思ったでしょう?』
今考えていたことを読まれ、睫毛が微かに震える。
『今回君に殺してもらう楪葉由良はこれまでの者たちとは違います。彼は化け物です』
『……! 化け物と、言いますと』
『彼は自身以外の人間をまず信用しません。常に笑みを絶やさぬ温厚な人物ですが、その内側には隙がなく、容赦がありません。邪魔な者や気に食わない者は排除し、彼に手をかけられた者の姿は永遠に消え去ったと言います』
主様は顔に仮面をつけているため表情は読み取れない。しかし、彼をただ者ではないと認めていることが空気を通してこちらにまで伝わってくる。
……これは、相当手強そうだ。
わたしは気を引き締めて、厳正さを醸し出している立派な校門をくぐり抜けた。
╰𒀭ॱ˖
「今日から新しくこの学園に通う生徒を紹介します。橋呉さん、入ってきてください」
上品な白いスーツに身を包み、眼鏡をかけキリッとした雰囲気の女の先生が廊下にいたわたしを呼ぶ。
わたしは言われるままに教室に入り、今日から共に勉強するクラスメイトと向き合った。
ぐるっと教室全体に視線を配り、ある人物を見つける。
教室の後方、窓際の席で頬杖をついて気だるそうにしている男。