悪女だってヒロインになりたいんです。
…だけど、それがなんだ。


「私はいつまで美亜に嫌がらせをする悪女、負けヒロインでいないといけないの?もううんざり」


人は簡単に騙され切り捨ててくると知ってから、この世界で愛されることはとっくに諦めていた。

大切な誰かを作ったところで、また傷つくのは嫌だったから。

だけど、偏見で決めつけない和佳という友達ができて、出会い方は最悪だったけどそれでも私と関わることをなぜかやめてこない棗と接していくうちに、悪女だった自分が普通の人になっていくようなそんな気がした。


「私だってヒロインになりたいの。いつまでも美亜の悪女でいるなんて嫌。たとえ家族から愛されなくても、こんな私を好きになってくれる人だってこの世界にはいると思うから。それならありのままの私でいたい」


棗が美亜と仲良くなっていくなんて、きっと耐えられない。

今までどんなことだって耐えてきたし、悪女になったことで私は自分自身ですら諦めていたけど、棗のことだけは諦められない。

私は棗が好きなんだ。

何を考えているかわからないし、私のことなんて悪女としか思っていないだろうけど、それでも棗に惹かれている。

だからこそ、私は悪女である今のままではダメだ。


「…そんなの、許されないに決まってるでしょ?茉莉花は私の悪女じゃないといけないの。これからもずっと」


美亜は近くに置いてあった水の入ったバケツを高く掲げてきた。

水をかけられると思い、咄嗟にギュッと目をつぶる。
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