眠り王子と夢中の恋。
「どうしたのそんなに見て」

「……うぅ、一本、ください、です」

「ははっ、無言のアピールすごいよね。
 素直にそう言えばいいのに〜」

朝霧くんにお許しをもらい、ポテトをケチャップにつけて頬張る。

「あーあ、なにやってんのケチャップ付けて」

そう言って手を伸ばしたかと思えば、口の横を親指で拭ってくれた。

「ふふっ、朝霧くんお兄さんみたいですね」

「口の横につけるとか定番すぎだろ。
 もしかして狙ってたりする?」

「へ?」

そんなに口周りを汚してしまう人がいるのだろうか。

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