眠り王子と夢中の恋。
「『美夜、好きな人がいるんだって。でも、そのせいで苦しんでる』って」

「!」

それって、もしかしなくとも玲音のことだ──。

「ごめん、俺なんかが聞くことじゃないってのは分かってる。でも正直……」

少し間を開けた。

「鈴崎さんのこと、諦めきれてないんだ」

「え?」

私を好いてくれていた気持ちのことだろうか。

ということは……まだ、私のことを好き?

朝霧くんは苦しそうに顔を歪めた。

「自分でも、迷惑だよなって分かってるけど、頭から消えてくれないんだ。こんなに好きになったのは、今までもこれからも鈴崎さんだけだよ」

でも、その気持ちには共感する。
 
玲音を好きだって思ってから、玲音の存在が頭から一瞬も離れないから。

< 218 / 284 >

この作品をシェア

pagetop