猫は、その恋に奇跡を全振りしたい
「……だったら、別の相談にします」
「……相談?」
わたしは警戒するように、神妙な声色でつぶやいた。
「別のことなら、問題ないだろ?」
鹿下くんはすっとぼけた顔をして言う。
出会った時からだけど、いまいち何を考えているのか掴めない。
「俺、猫巡り部に入部します!」
「ええっ!?」
初耳ばかりの告白に、わたしは驚きに目を見開いた。
「安東の未練を晴らすことができないなら、麻人がこれ以上、安東にならないように見張るだけだ」
「そ、そんな、勝手なこと……」
「何だよ、俺がどこに入部しようが勝手だろ」
正論を叩きつけられた気分で、何も言えなくなる。
そっぽ向いた鹿下くんもまた、悪びれる様子がなかった。
「もしかして、二人はあまり仲良くない……?」
険悪な雰囲気をはらむわたしたちを見て、渚くんは不安を口にする。
数秒の間を置いてから、わたしと鹿下くんははっとした。
「そ、そんなことないよな!」
「う、うん。仲良しだよー」
咄嗟に出た鹿下くんの言葉に、わたしは焦って同意する。
「そうなんだ」
その声は、どこか安心したような柔らかさがあった。
穏やかな笑みを浮かべる渚くんを見て、わたしはほっと安堵する。
思わず出た言葉だったけど、渚くんの笑顔が見れたからよかった。
ただ――。
「……はあ」
「むっ……」
不機嫌そうにため息をついた鹿下くんの態度が気にくわないけれど。
「私は、新入部員が入ってくれるのは大歓迎だよー!!」
両手を大きく広げている井上先輩は、もはや歓迎モードだ。
「よし、これで決まりだな」
「……っ」
鹿下くんの断言に、うまく声が出ない。
言い返したいのに言い返せず、わたしは結局、うつむくしかなかった。
「……相談?」
わたしは警戒するように、神妙な声色でつぶやいた。
「別のことなら、問題ないだろ?」
鹿下くんはすっとぼけた顔をして言う。
出会った時からだけど、いまいち何を考えているのか掴めない。
「俺、猫巡り部に入部します!」
「ええっ!?」
初耳ばかりの告白に、わたしは驚きに目を見開いた。
「安東の未練を晴らすことができないなら、麻人がこれ以上、安東にならないように見張るだけだ」
「そ、そんな、勝手なこと……」
「何だよ、俺がどこに入部しようが勝手だろ」
正論を叩きつけられた気分で、何も言えなくなる。
そっぽ向いた鹿下くんもまた、悪びれる様子がなかった。
「もしかして、二人はあまり仲良くない……?」
険悪な雰囲気をはらむわたしたちを見て、渚くんは不安を口にする。
数秒の間を置いてから、わたしと鹿下くんははっとした。
「そ、そんなことないよな!」
「う、うん。仲良しだよー」
咄嗟に出た鹿下くんの言葉に、わたしは焦って同意する。
「そうなんだ」
その声は、どこか安心したような柔らかさがあった。
穏やかな笑みを浮かべる渚くんを見て、わたしはほっと安堵する。
思わず出た言葉だったけど、渚くんの笑顔が見れたからよかった。
ただ――。
「……はあ」
「むっ……」
不機嫌そうにため息をついた鹿下くんの態度が気にくわないけれど。
「私は、新入部員が入ってくれるのは大歓迎だよー!!」
両手を大きく広げている井上先輩は、もはや歓迎モードだ。
「よし、これで決まりだな」
「……っ」
鹿下くんの断言に、うまく声が出ない。
言い返したいのに言い返せず、わたしは結局、うつむくしかなかった。