猫は、その恋に奇跡を全振りしたい
*
鹿下くんという新たな部員が入部した翌日の放課後。
わたしは渚くんに誘われて、渚くんの家の前に立っていた。
目的はベルちゃんに会うこと。
そして、久しぶりに、渚くんたちと一緒に夕食を食べることだ。
趣のある一軒家を目の前にして、手が少し震える。
(渚くんの家に行くのは久しぶりだな)
久しぶりに会う緊張のせいか、わたしはインターフォンをおそるおそる押す。
わたしが用件を伝えると、渚くんに似た穏やかな雰囲気の女性が出てきた。
「冬華ちゃん、久しぶりね。渚から聞いているわ。今日は来てくれてありがとう」
「お久しぶりです」
渚くんのお母さんの花咲くような笑顔に、わたしはぺこりと頭を下げる。
「あのー。これ、母から」
「まあ、ありがとう」
わたしがお菓子の入った袋を差し出すと、渚くんのお母さんは嬉しそうに顔を輝かせた。
体調を崩していたはずの渚くんのお母さんは、今ではすっかり、元気はつらつっぷりを発揮しているみたい。
渚くん効果は、本当に絶大だ。
「ささ、入って、入って。冬華ちゃんが来ると知って、ベルもそわそわしていたの」
「お邪魔します」
玄関に入ると、渚くんのお母さんはリビングに招いてくれた。
「ベル。冬華ちゃん、来たわよ」
「みゃー」
渚くんのお母さんの視線を追うと、天使の鳴き声が聞こえた。
いつの間にか、足元にいた人懐こそうな猫が「かまってー」と言わんばかりに足にすりついてくる。
まさに愛くるしさの塊だ。
「ベルちゃん、かわいいねー」
わたしはしゃがみ込み、ベルちゃんをなでる。
「みゃ〜」
気持ちよさそうに目を細めたベルちゃんが、つぶらな瞳でわたしを見上げた。
「…………っ」
この時点で骨抜きだ。
かわいすぎて、崩れ落ちそうになる。
ベルちゃんは、『ラグドール』という種類の大きな猫。
愛らしい見た目で、穏やかな性格なんだ。
「冬華、いらっしゃい」
「あ、渚くん!」
渚くんの姿を目の当たりにした瞬間、わたしの口から喜びが溢れる。
だけど、それはベルちゃんも同じだったみたい。
鹿下くんという新たな部員が入部した翌日の放課後。
わたしは渚くんに誘われて、渚くんの家の前に立っていた。
目的はベルちゃんに会うこと。
そして、久しぶりに、渚くんたちと一緒に夕食を食べることだ。
趣のある一軒家を目の前にして、手が少し震える。
(渚くんの家に行くのは久しぶりだな)
久しぶりに会う緊張のせいか、わたしはインターフォンをおそるおそる押す。
わたしが用件を伝えると、渚くんに似た穏やかな雰囲気の女性が出てきた。
「冬華ちゃん、久しぶりね。渚から聞いているわ。今日は来てくれてありがとう」
「お久しぶりです」
渚くんのお母さんの花咲くような笑顔に、わたしはぺこりと頭を下げる。
「あのー。これ、母から」
「まあ、ありがとう」
わたしがお菓子の入った袋を差し出すと、渚くんのお母さんは嬉しそうに顔を輝かせた。
体調を崩していたはずの渚くんのお母さんは、今ではすっかり、元気はつらつっぷりを発揮しているみたい。
渚くん効果は、本当に絶大だ。
「ささ、入って、入って。冬華ちゃんが来ると知って、ベルもそわそわしていたの」
「お邪魔します」
玄関に入ると、渚くんのお母さんはリビングに招いてくれた。
「ベル。冬華ちゃん、来たわよ」
「みゃー」
渚くんのお母さんの視線を追うと、天使の鳴き声が聞こえた。
いつの間にか、足元にいた人懐こそうな猫が「かまってー」と言わんばかりに足にすりついてくる。
まさに愛くるしさの塊だ。
「ベルちゃん、かわいいねー」
わたしはしゃがみ込み、ベルちゃんをなでる。
「みゃ〜」
気持ちよさそうに目を細めたベルちゃんが、つぶらな瞳でわたしを見上げた。
「…………っ」
この時点で骨抜きだ。
かわいすぎて、崩れ落ちそうになる。
ベルちゃんは、『ラグドール』という種類の大きな猫。
愛らしい見た目で、穏やかな性格なんだ。
「冬華、いらっしゃい」
「あ、渚くん!」
渚くんの姿を目の当たりにした瞬間、わたしの口から喜びが溢れる。
だけど、それはベルちゃんも同じだったみたい。