猫は、その恋に奇跡を全振りしたい
*
放課後、わたしは猫巡り部のみんなに、昨日の件を報告した。
改めて、猫に関することを相談するためだ。
「にゃー! なるほど、そうきたかー。猫を飼うより、猫巡り部の活動をもっと頑張れと! それが猫のためになると訴えているわけだね!」
くるり、井上先輩はその場で回転してみせる。
猫耳のついた衣装。
ひらりとワンピースの裾が舞う、魔女の格好をしていた。
「トリック・オア・トリート! お菓子をくれないと悪戯しちゃうぞ!」
「お菓子なんてねぇよ!」
井上先輩の言い分に、鹿下くんはさっと目を逸らした。
「猫神祭りは、ハロウィンの日に開催される。だからって、仮装するの、早すぎだろ!」
鹿下くんはなんだか、ご機嫌ななめな様子。
その横顔をまぶしそうに見つめて、井上先輩は満足そうに微笑む。
「何言っているのにゃん。猫神祭りはもうすぐなんだから、仮装のチェックは重要にゃ!」
今日は、お祭り前の最後の大詰めの準備。
わたしたち、猫巡り部は、猫の仮装をしてお祭りに参加する。
普段はそうはいかないけど、ハロウィン前に限っては、校内の仮装が許されていた。
「渚くん、かっこいいね」
「冬華も魔女の格好、すごく似合っているよ」
渚くんの言葉に、わたしはどきりとする。
まるで幸福の花びらのように、ふわりと舞って心に降り注いだ。
そこからさらに色づいていって、まぶしいほどの彩りで満ちていく。
だけど、そこに水を差すような怒声が響いた。
「とにかく猫耳、いらねーだろ!!」
鹿下くんは不本意そうに主張する。
猫耳のついたヴァンパイア姿の渚くんと鹿下くんは、毅然としてかっこいい。
だけど、鹿下くんは猫耳をつけることに、どうしても抵抗があるのだろう。
「ふむふむ。そんなことより、桐谷さんの悩み事を解決することが先決だね」
「無視すんなー」
井上先輩は相変わらず、鹿下くんの心情を置いてきぼりにして言った。
「まず、確認したいのは、桐谷さんのお母さんは、猫巡り部の活動をもっと頑張れと言ってきたんだよね?」
「はい」
わたしがうなずくと、井上先輩はずばっと矛先を変える。
「むむぅ、これは重大だぞ。猫巡り部の活動を活発化させる方法。鹿下くんは何かあるかな?」
「いきなり、丸投げかよ!」
ふふん、と井上先輩が誇らしげに笑うと、鹿下くんは冷静なツッコミをした。
放課後、わたしは猫巡り部のみんなに、昨日の件を報告した。
改めて、猫に関することを相談するためだ。
「にゃー! なるほど、そうきたかー。猫を飼うより、猫巡り部の活動をもっと頑張れと! それが猫のためになると訴えているわけだね!」
くるり、井上先輩はその場で回転してみせる。
猫耳のついた衣装。
ひらりとワンピースの裾が舞う、魔女の格好をしていた。
「トリック・オア・トリート! お菓子をくれないと悪戯しちゃうぞ!」
「お菓子なんてねぇよ!」
井上先輩の言い分に、鹿下くんはさっと目を逸らした。
「猫神祭りは、ハロウィンの日に開催される。だからって、仮装するの、早すぎだろ!」
鹿下くんはなんだか、ご機嫌ななめな様子。
その横顔をまぶしそうに見つめて、井上先輩は満足そうに微笑む。
「何言っているのにゃん。猫神祭りはもうすぐなんだから、仮装のチェックは重要にゃ!」
今日は、お祭り前の最後の大詰めの準備。
わたしたち、猫巡り部は、猫の仮装をしてお祭りに参加する。
普段はそうはいかないけど、ハロウィン前に限っては、校内の仮装が許されていた。
「渚くん、かっこいいね」
「冬華も魔女の格好、すごく似合っているよ」
渚くんの言葉に、わたしはどきりとする。
まるで幸福の花びらのように、ふわりと舞って心に降り注いだ。
そこからさらに色づいていって、まぶしいほどの彩りで満ちていく。
だけど、そこに水を差すような怒声が響いた。
「とにかく猫耳、いらねーだろ!!」
鹿下くんは不本意そうに主張する。
猫耳のついたヴァンパイア姿の渚くんと鹿下くんは、毅然としてかっこいい。
だけど、鹿下くんは猫耳をつけることに、どうしても抵抗があるのだろう。
「ふむふむ。そんなことより、桐谷さんの悩み事を解決することが先決だね」
「無視すんなー」
井上先輩は相変わらず、鹿下くんの心情を置いてきぼりにして言った。
「まず、確認したいのは、桐谷さんのお母さんは、猫巡り部の活動をもっと頑張れと言ってきたんだよね?」
「はい」
わたしがうなずくと、井上先輩はずばっと矛先を変える。
「むむぅ、これは重大だぞ。猫巡り部の活動を活発化させる方法。鹿下くんは何かあるかな?」
「いきなり、丸投げかよ!」
ふふん、と井上先輩が誇らしげに笑うと、鹿下くんは冷静なツッコミをした。