逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 うちの家族は、お客さんが来たときは精一杯のおもてなしをする。そして、相手が自ら話し出さない限り、プライベートには踏み込まない。そういう距離感を大切にしている人たちだ。

 蓮さんが、家族──とくにお母さんのことを話したがらないのは、この一ヶ月の暮らしで何となく察していた。

 でも彼が何も言わなくても、構えることなく自然に接してくれる両親とおばあちゃんの姿に、私は少しだけ誇らしい気持ちになる。

 「いただきます」の声をそろえて、箸を手に取ったあと、ふと、家族と蓮さんが一緒に囲むこの食卓を、少し引いた視点で眺めてみた。

 お父さんは「これ、庭で育てた山椒なんだ。一緒にどうぞ」と蓮さんに差し出し、どこか得意げな顔をしている。すかさずお母さんが「育ててるって言うけど、放ったらかしでしょ」と笑いながら言う。

 おばあちゃんはというと、キャンプでの失敗談を披露しては、蓮さんと顔を見合わせて笑い合っている。

 なんだか、ずっと前から一緒にいる家族みたいだ。
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