逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「蓮さん、ヤバい、セクシーすぎる! 上半身ハダカで来年のカレンダー作ったらぜったい売れる!」

 自分の心の声がうっかり漏れたかと思ってドキリとしたけれど、声の主は明日香ちゃんだった。

 私はホッとしつつ、ミーハーなノリで便乗しようとしたけれど……うまくはしゃげなかった。どんなふうに茶化しても、自分の気持ちが、こぼれてしまいそうで。

「……あと一時間で新幹線の時間だから、蓮さん、シャワー浴びてくれば?」

「そうだね」

 タオルで汗をぬぐいながら、蓮さんは頷いた。

 その表情には、もう今朝の不安げな影はなかった。いつもの、穏やかで静かな自信が戻ってきている。

 彼が家に入るのを見届けてから、私はおばあちゃんのもとへ向かった。

「おばあちゃん、蓮さん、すっかり元気になったね。どんな魔法を使ったの?」

 おばあちゃんは、ふっと優しく笑った。

「薫、蓮くんはね──」

 そう言いかけて、ふいに視線を落とす。豪快なおばあちゃんが言葉を濁すなんて、珍しい。

「おばあちゃん?」

「蓮くんは……とってもいい子だから、大切にしてあげなさい」

 それだけ言うと、いつもの力強い笑顔に戻って、「来年は、蓮くんのために、もう少しウォールを高くしてもらおうかしら」と言いながら、家の中へと戻っていった。
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