逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「母さん。彼女が薫。僕が結婚しようと思っている人だ」

 そのひと言が、甘く、切なく胸に染み込んでいく。──本当だったら、どんなに嬉しいだろう。

「はじめまして。椿井薫と申します」

 私はお土産の紙袋を差し出しながら名乗った。

「これ、長野のふじリンゴと、私のお気に入りの和菓子屋さんの最中です。蓮さんから、リンゴがお好きだと伺って……」

「ありがとう、薫さん。リンゴも最中も大好きなの」

 お母さんは優しく笑いながら、竹籠を軽く持ち上げて、中のミントを私に見せる。

「いま、ミントを育てるのがちょっとした趣味なの。よかったら、ミントティーを一緒にどう?」

「ありがとうございます、ぜひ。お手伝いさせてください」

 私はお母さんのもとへ歩み寄り、竹籠を受け取った。ふわりと立ち上がるミントの香りに、心が少し軽くなる。

「実は、うちの実家でも庭でハーブを育てていて……ミントやレモンバーム、ホーリーバジルのお茶は、家族の定番なんです」

 それを伝えると、お母さんは目を細めて微笑んだ。

「それじゃあ、ミントティーはお願いしようかしら。私はブレッドプディングの準備をするわ。薫さんが来るって聞いて、朝から張り切って作ったのよ」

「わぁ、おしゃれですね。ありがとうございます!」
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