逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 お母さんがミントティーを口に運んで、目を見開いた。

「私が淹れるよりずっと美味しいわ」

 私は、おばあちゃんから教わった葉の扱いやお湯の温度について説明した。

「そんなちょっとした工夫で、こんなに味が変わるのね」

「今日のはスペアミントだと思いますが、キャンディミントやニホンハッカも香りがよくて、おすすめですよ」

 お母さんは目を細めて、「薫さん、すごく詳しいのね」と微笑んだ。

「ええ、こう見えて山育ちですから」

 お母さんが作ってくれたカスタード・ブレッド・プディングは、シナモンの香りがやさしく効いていて、どこか外国の家庭を思わせるような味だった。

 表面のパンはカリッと香ばしく焼かれ、その下にはとろけるようなカスタードフィリング。ふわりと立ちのぼるバニラのような香り──初めて口にするのに、なぜか懐かしくて、一口で好きになってしまった。

「これ、とっても美味しいです」

 そう言うと、お母さんはやわらかく笑い、どこか安心したような表情を浮かべた。

「アメリカの家庭料理なの。前はシナモンとバニラビーンズで作っていたんだけど、蓮がトンカビーンズを少し加えてみたらって言ってくれて。それが大正解で、香りに奥行きが出たのよ」

「僕はマッドサイエンティストだからね」

 蓮さんが肩をすくめて、冗談めかして言う。
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