逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「案の定、かなり酔ってしまってね。送ると言われても頑なに断って……結局、『ワインを何本かあげるから』と説得されて、ようやく応じたらしい。家に戻って、一人で全部飲んで……そのまま、リビングの床で眠っていたそうだ」

 私は何も言えずに、ただ彼の言葉を受け止めるしかなかった。

「その知らせを、お手伝いさんから聞いて……あの日の僕には、絶望しかなかった。何をどうすればいいかもわからなかった。そんなときに、駅で酔っ払いに絡まれてる女の子を見かけて……助けなきゃって思った。でも、僕より先に……君が飛び込んで行ったんだ」

 その瞬間、出会った日の、蓮さんの氷のように冷たい眼差しがはっきりとよみがえった。

 感情をシャットダウンしたような、誰も寄せつけない視線。でも、きっと──あのときの彼の心は、限界ぎりぎりのところで、一人で耐えていたのだ。

「母さんがスリップしてしまうのは、母さん自身の問題であって、僕がどうにかできることじゃない。飲まないように見張って防ぐなんて、間違ってる。でも……今でもあの人が一人でパントリーに行くと、不安になる。こっそり飲んで、何事もなかった顔で戻って来るんじゃないかって」
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