逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 だけど、深い絶望からの再生なら、そもそも絶望の深さを描かなければ、再生も描けない。

 愛する人から、何の前触れもなく別れを告げられる。その痛みを想像することもできる。諦めきれないだろう。何日も眠れない夜を過ごすだろう。でも──

「あなた、そんな情熱的な恋、したことがあるの?」

 広瀬さんの冷たい声が、まるで鋭いナイフのように突き刺さる。

 蓮さんのことは好きだ。大好き……だと思っている。

 でも、彼と一緒にいるときの気持ちは、まるでひだまりに包まれているときのように、穏やかで心地いいものだ。名前をつけるとすれば、それは「燃え上がる情熱」というよりも、「優しい温もり」。

 確かに今日、蓮さんが少し距離を置いているように感じて、不安が胸をかすめた。

 でも、たとえ彼が私に恋愛感情を持っていなくても、1年間一緒に暮らすという約束は守ってくれるだろう。

 そして今の私は、それでも十分だと思っていた。彼が私の気持ちに応えてくれなくても、期間限定でも……蓮さんと一緒にいられればそれでいいと。

──こんな私に、この主人公の絶望が書けるのだろうか?
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