逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 蓮さんにとって、私は恋愛対象じゃない。それでも、私はものすごく幸せだったし、今のままの幸せがずっと続けばいいとすら思っている。

 ──今の私は、絶望とは一番離れた場所にいる。

 しばらくの間、彼から離れたとして、私の気持ちは変わるのだろうか? 狂いそうなほどの愛おしさとか、焦燥感とか、そういうものを感じることはできるのだろうか?

 それに……彼には何て説明しよう?

 正直に、「蓮さんのこと好きな気持ちをシナリオにぶつけたいから、自分に試練を与えるためにちょっと離れるね!」なんて言ったら、間違いなくドン引きされる。今、自分で考えていてもドン引きレベルだ。

 まあ、シナリオに集中したいからとか言うのが妥当だろうな。

 そんなことを考えながら、私は玄関のドアを開けた。

「ただいま」

 奥のリビングのガラス戸から、灯りが漏れている。だけど返事はなく、物音もしない。

「蓮さん?」

 リビングのドアを開けてみる。窓際に置かれた一人がけのソファで、蓮さんがワイシャツにネクタイのままで眠っているのが見えた。

 スーツのジャケットは、バッグの上に置かれたままだ。蓮さんが着替えもせずに寝落ちなんて、珍しい。
< 222 / 590 >

この作品をシェア

pagetop