逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「"low"じゃなくて"raw"。『生の』という意味よ。辛いことが起こった時、最初に心を直撃する感情のこと。今のあなたの悲しみとか悔しさみたいにね」

 私は頷いた。

「その感情は、自分を惨めに感じさせるかもしれない。でも、それはそういうものだから仕方ない。大事なのは、その痛みから何かを学び取る意志があるかどうか。もしあるなら、行動に移すしかないの。意味ある行動に」

 確かに……そうかもしれない。

「昨日のあなたは、本当にロウ・エモーションでいっぱいだった。でも、だからこそ、あんなに力強い絶望のシーンが書けたんだと思う」

 再び頷く。普段は自分の描いたものを認めるのが苦手な私だけど、昨日書いた部分には、確かに手応えを感じていた。

「偉そうに言っちゃったけど、要するに、あなたは正しい軌道に乗っているということ。だから安心して」

「ありがとうございます」

 広瀬さんは私の肩に手を置き、真剣な目で見つめた。

「薫、あなたは大丈夫だから」

 名前で呼ばれた瞬間、私の心にふわりと温かさが広がった。それはまるで、寒い朝に見つけた陽だまりのような心地よさだった。
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