逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「これは契約なんだから、むしろ誕生日以外の日に提出して欲しいな。離婚した後、毎年誕生日が来るたびに思い出すのは、いくら図太い私でも辛いから」

 私は笑いながら、軽く冗談めかして言った。

「あと、3日は先約があるの。知里さんや友記子たちと食事する予定なんだ」

 蓮さんが今、どんな顔をしているのか、見えなくてよかった。もし彼が少しでも傷ついた顔をしていたら、理不尽だと思いながらも、きっと私は罪悪感を抱いてしまうから。

 私は蓮さんの前に、記入済みの用紙を差し出した。

「はい、できました。提出はお願いしてもいい? もし蓮さんが忙しいなら、私が出してくるよ」

 ペンをケースにに戻す振りをしながら、私はまだ蓮さんの顔を見られないでいる。そして、この間の夜のことが蓮さんの負担にならなければいいなと思いながら、言葉を付け加えた。

「交際0日婚だね」

 そう言って、ようやく蓮さんに視線を向けることができた。──彼の顔には、見たことのないほど深い悲しみが滲んでいた。

 その瞬間、私の胸にも鋭い痛みが突き刺さった。

──だけど、これは私が選んだことだ。
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