逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「それはまた、大変な道を……」

 私は苦笑して頷く。

「コンビの相方の子、伊吹(いぶき)くんっていうんですけれど、シルベストレ製菓に勤めているんです。大手ですが古い体質の会社らしく、有給も取りにくくて、定時に帰れることも少ないみたいで。いつも、稽古する時間が取れないってぼやいているから、そろそろ解散かもと思ってるんですけどね」

「なるほど。いろいろあるのね」

 知里さんは腕時計に目をやった。

「それじゃ、私は会社に向かうわ。また後でね」


* * *


 待ち合わせまでは1時間以上あったので、私は再び街を歩くことにした。イルミネーションに彩られた大通りを歩いていると、なんだか胸が高鳴り、ロマンチックな気分になる。

 ふと、自分に何か誕生日プレゼントを買おうかと思い、デパートに足を向けた。

 クリスマスの装飾が施された店内を眺めながら、特に目的もなく歩いてゆく。並んでいる商品はどれも素敵だったけれど、「これが欲しい」と心が動くものはなかった。

 ──蓮さんには、毎分、いや毎秒だって、心が動かされていたのにな。

 私はその考えを振り払おうとして、ふと、立ち止まった。
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