逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 そう言いながらも、理央さんは楽しそうに笑った。蓮さんは片手で顔を隠しながら固まっている。よく見ると、彼の耳は真っ赤に染まっていた。

 理央さんはふと表情を和らげ、私を見て言った。

「兄さんとはいつもメールでやり取りしてるんだけど、ここ数ヶ月、ずっと『薫とここに行った』『薫はこれが好きみたい』『薫が美味しいって言ってくれた』って話ばかりで、それ以外に話題がないのかよって思ってた。好きなんでしょって言っても、いや、そんなんじゃないとか言うし。鈍いなあって、ずっと思ってた」

 蓮さんを見ると、彼はまだ顔を手で隠したまま、何も聞こえないふりをして立っていた。蓮さんは……私との時間をそんなにも大切にしてくれていたと、うぬぼれてもいいのだろうか。

「だからね、薫さん。私、ずっと薫さんに会いたかったの」

「……会えて嬉しかった」理央さんが輝くような笑顔で言う。その瞬間、ああ、似ていると思った。目を細めた優しい笑顔が、まるで蓮さんそのものだった。

 嬉しさが胸に広がると同時に、恥ずかしさもじわじわと込み上げてきた。

「私、そうとは知らず、一人で大騒ぎして……」
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