逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 ウーロン茶が運ばれてきたので、私は祐介と軽く乾杯をした。

「ところで、伊吹くんは元気?」

 伊吹くんは、私たちの幼馴染であり、祐介の幼稚園からの同級生だ。高校時代に祐介とお笑いコンビを結成し、老舗の菓子メーカーに就職した今も、時間をやりくりしてお笑い芸人としてのデビューを目指していた。

 祐介は「うーん」と微妙な声を出す。

「あいつ、会社でうまく行ってないみたいでさ。俺みたいに退職して派遣になって、お笑いに力を入れようかなって言い出してる」

 私は心配になって、少し眉を寄せた。

「あんたと伊吹くんでは、ずいぶん状況が違うし……。それに、伊吹くんは昔から『お菓子を作ってみんなを笑顔にしたい』って言ってたのに」

 祐介は、今度は大根サラダを取り分けてくれた。こういう気遣いができるから女の子にモテるのかと、私はなんだか納得した。

「そうなんだけど、どれだけ新商品の企画を出しても全然通らないって落ち込んでるんだよ。だからなおさら、お笑いでデビューする夢に賭けたいんだろうけど……正直、そっちのほうが何倍も難しいと思う」

 祐介はまっすぐ私を見て、言葉を続けた。
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