逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 引き出しをガサガサ物色している先生の横顔に向かって、私は告げた。先生はおそらく、大方の予想をつけたうえで、私に退社の話を切り出させないようにしているのだろう。

 先生の動きがぴたりと止まり、視線だけがこちらに向けられる。その目は永久凍土のように冷たい。

 それでも、先生は気を取り直したように顔に笑顔を貼り付けた。ただし、目だけは一切笑っていなかった。

「椿井ちゃんてば、エルネストEP社の仕事をやって天狗になっちゃったのね。でもね、あなたの実力なんてまだまだ中の下あたりよ。そうね、あと3年……いえ、2年でいいわ。マンサニージャで受け入れてあげるから、もっと精進しなさいな」

「……大変申し訳ありません。先生にはとても感謝しています。だけど、熟考した上で決めました」

 深々と頭を下げ、数秒後に顔を上げると──そこには目だけが異様に光る、無表情な先生がいた。

 ……これ、ホラー映画だったら間違いなく次の犠牲者は私だ。

 だけど、次に発せられた言葉は、その冷たい表情からは想像もできないものだった。
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