逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「ああそうだ。春木賢一朗先生、サインください!」

 祐介は笑いながら頷いた。だけど、その後の話は思いもよらないものだった。

「実はさ、受賞者が発表されてから、他の出版社からも出版のオファーが来てるんだよね。これまで応募したことがある出版社とかね」

「そうなんだ。やっぱり動きが早いんだね。でも祐介は、今まで通りじっくり執筆するんでしょ?」

 私の言葉に、祐介は口元を少し歪めた。本人は笑ったつもりなのだろうが、その表情にはどこか狡猾さが感じられた。

「前に応募したとき落ちた作品を二冊に分けるって話をもらったんだ。二つの要素が絡み合う話だから、それぞれ独立させてもストーリーは成り立つし、なんてったって二冊出せば印税も倍だし」

 祐介の言葉に驚いて、私はコーヒーが入ったダブルウォールグラスを握りしめた。

「……一つの作品を二冊にするって、そんな簡単に原稿を増やせるものなの?」

 祐介はきょとんとした顔をして、ドリンクに載ったチョコレートクリームをスプーンですくいながら言った。
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