逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「どんなことがあっても、君たちを信頼している。だから、君も、祐介くんも……」

 そして彼は、ゆっくりと力強く微笑んだ。

「困ったことがあったら、僕を頼ってほしい」



 泣き疲れると、お腹が減る。そんな当たり前のことを、久しぶりに実感した。

「いつものだけど」と言いながら、蓮さんがサラダの準備を始める。私は、祐介が持ってきたおばあちゃんの味噌を使い、具沢山のお味噌汁を作ることにした。お玉でそっと溶かすと、湯気の向こうに懐かしい香りが広がっていく。

 メインはもちろん、祐介が作り置いてくれた、明日香ちゃんレシピのお稲荷さんだ。

 キッチンに並んで立ちながら、ふと蓮さんの横顔を盗み見る。そういえば、こうして一緒に料理をするのは、いつぶりだろう。

 彼の手元には、オールドパイレックスの小ぶりなミキシングボウル。その中で、はちみつやビネガー、オリーブオイル、粒マスタードが混ざり合い、黄金色のドレッシングに変わっていく。

 今日は、砕いたアーモンドとカシューナッツを加えた鶏ハムのサラダに、このハニーマスタード・ドレッシングを合わせるみたいだ。

「前に食べたとき、『このドレッシングなら、毎日レタスだけでもいい』って言ったの、覚えてる?」

 私が尋ねると、蓮さんはビーターを持つ手を止めて、ふっと微笑んだ。
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