逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 このまま祐介にすべてを背負わせるなんてできない。けれど……私に、何ができるのだろう。

 小さく息をついてうなだれると、首元でペンダントが微かに揺れた。その感触に意識を向けた瞬間、蓮さんの穏やかな声が聞こえた気がした。

 ──どんな事情があるにせよ、君と祐介くんが大切な人を裏切るはずがないって、僕はちゃんとわかっている──

 蓮さん……。

 言葉が胸に沁みて、私は思わずペンダントに触れる。すると、それに気づいた祐介が、横から手を伸ばしてきた。

「姉ちゃん、ちょっとごめん。見せて」

 祐介の指が、ペンダントトップをそっと持ち上げる。

「やっぱり。これ、『H. ヴェスペル』の久世遥のデザインだ」

「ヴェス……なんて?」

 祐介は、「姉ちゃん、俺以上にジュエリーに疎いよな」と言って苦笑する。この重い空気を、少しでも和らげようとしているのが伝わってきた。

「もしかして、蓮さんにもらったの?」

 私は少し照れながら「うん」と頷く。

「っていうか、なんで祐介がジュエリーのデザイナーに詳しいのよ」

「前の会社にいたとき、アメリカ本社でプレミアムジュエリーのチャリティー・オークションが開かれてさ。そのとき、社会貢献の一環ってことで、久世遥が一点物のジュエリーを提供してくれたんだ」
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