逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 「すげぇ、このコンパス……何度も海を渡ったんだろうな。星も月も見えない夜、船乗りたちは、ただこの針を頼りに暗い海を進んでいったんだ……うっわー、想像力を掻き立てられる」

 やがて顔を上げた祐介は、蓮さんをまっすぐに見た。

「蓮さん──最初に俺が蓮さんのこと聞いたとき、姉ちゃん、『優しいだけじゃなくて、さり気なく背中を押してくれるし、たまに強気で、それがまたかっこいい』って惚気(のろけ)てたんです」

「ちょ、祐介……何言ってんのよ!」

 思わず声が上ずる。本人の前でそんなこと言うなんて……。蓮さんがちらりとこちらを見た気配はあったけれど、恥ずかしすぎて顔を向けられない。

 でも祐介は、私の焦りなどお構いなしに、言葉を続けた。

「正直、それを聞いたときは、姉ちゃんの妄想か、もしくは詐欺に遭ってるか──どっちにしてもヤバいと思ってました。でも、姉ちゃんが正しかった」

 そのまま、ゆっくりと頭を下げる。

「ありがとうございました」

 蓮さんはその肩にそっと手を置き、顔を上げさせると、穏やかに微笑みながら両手を広げた。

「メリークリスマス、祐介くん。君の航海に、ずっと追い風が吹くと信じてるよ」

 そのまま、蓮さんは祐介を抱きしめた。

 祐介は一瞬驚いたようだったが、すぐにその背中に腕を回し、ぎゅっと抱きしめ返す。
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