そばにいるって、君が忘れないように
*
課題を終わらせることに専念していた私は、気づいたら教室で一人になっていた。
帰る準備をしていると、誰かが教室に入ってきたのが分かった。
「のーどかちゃん」
中江は、教室の入り口に立って壁におっかかっていた。
「聞いてくれた? 連絡先」
「あ、あの……聞いたんだけど、あの……みんな連絡先ないって、言ってました」
「は? ははははは。なに言ってんの。なんでそんな分かりきったウソなんかつくわけ? そんなわけないに決まってんじゃん。私を騙そうとでも思ってんの? ほんとは知ってるんだろ。おい、早く言えよ!」
怒鳴りながら足音をバンバン響かせて中江は近寄ってくる。
そして、すさまじい剣幕で私の胸倉を掴んだ。
「ほ、ほんっと……ないって」
私は涙目になりながらも訴えた。
私の体は小刻みに震えている。
「早く言えよ。はやく!」
彼女は拳をつくり、それを振り上げた。
私はとっさに目をぎゅっと瞑った。