そばにいるって、君が忘れないように





課題を終わらせることに専念していた私は、気づいたら教室で一人になっていた。

帰る準備をしていると、誰かが教室に入ってきたのが分かった。


「のーどかちゃん」

 
中江は、教室の入り口に立って壁におっかかっていた。


「聞いてくれた? 連絡先」

「あ、あの……聞いたんだけど、あの……みんな連絡先ないって、言ってました」

「は? ははははは。なに言ってんの。なんでそんな分かりきったウソなんかつくわけ? そんなわけないに決まってんじゃん。私を騙そうとでも思ってんの? ほんとは知ってるんだろ。おい、早く言えよ!」


怒鳴りながら足音をバンバン響かせて中江は近寄ってくる。

そして、すさまじい剣幕で私の胸倉を掴んだ。


「ほ、ほんっと……ないって」


私は涙目になりながらも訴えた。

私の体は小刻みに震えている。


「早く言えよ。はやく!」


彼女は拳をつくり、それを振り上げた。

私はとっさに目をぎゅっと瞑った。

 
< 91 / 206 >

この作品をシェア

pagetop