指輪
疲れるのに、同級生に会うのがやめられないのは、ちょっとでも気晴らししたいのと、
心の中のどこかに、まだ、高校生のわたしがいるのかもしれない。
若くて、幼くて、みずみずしくて、
夢と絶望を行ったりきたりしていたわたしが。
冷めていくカフェラテの表面に映る自分を否定したい自分が。
憂鬱になる。枯れていく。冬が終わるたびに。むなしくなる。
同級生に会うたびに。
指輪がゆるくなったこと。
パートナーは気づかない。
カフェラテに砂糖を入れなくなったことも。
春の陽が真上から降り注いでいたのが、足の速い夕暮れ。有名な絵画みたいにポツンと金色の吹き溜まりが空に浮かんでいる。ずいぶんと気温が下がった。
夕食の買い物をして、家に帰ってごはんのしたくをして、洗濯物をとりこんでたたんで、会社から持ち帰った仕事をして、
なんて考えながら雑踏の坂を足早に降りる。
ふと、
雑踏がほどけるように、
わたしの目の前に、ひとりの人物があらわれた。
(え)
心の中のどこかに、まだ、高校生のわたしがいるのかもしれない。
若くて、幼くて、みずみずしくて、
夢と絶望を行ったりきたりしていたわたしが。
冷めていくカフェラテの表面に映る自分を否定したい自分が。
憂鬱になる。枯れていく。冬が終わるたびに。むなしくなる。
同級生に会うたびに。
指輪がゆるくなったこと。
パートナーは気づかない。
カフェラテに砂糖を入れなくなったことも。
春の陽が真上から降り注いでいたのが、足の速い夕暮れ。有名な絵画みたいにポツンと金色の吹き溜まりが空に浮かんでいる。ずいぶんと気温が下がった。
夕食の買い物をして、家に帰ってごはんのしたくをして、洗濯物をとりこんでたたんで、会社から持ち帰った仕事をして、
なんて考えながら雑踏の坂を足早に降りる。
ふと、
雑踏がほどけるように、
わたしの目の前に、ひとりの人物があらわれた。
(え)